ヘルシンキからサンクトペテルブルグ 鉄道の旅
極寒の年末に、フィンランドの首都ヘルシンキからロシアの古都サンクトペテルブルグまで、鉄道で国境を越えました。
- とにかく鉄道で越境してみたい!
- 飛行機の方が早いけど、市街地と空港が遠い!
- 列車ならではのローカルな雰囲気を味わいたい!
こんなに人におすすめだよ!
そんなこといっても、
どうやってチケットを買うの?
何に気をつければいいの?
パスポートのチェックはどうするの?
ロシア語の壁は厚い(が、なんとかなる)
入国審査がめっちゃ怖い(が、それも醍醐味)
無垢で無害な日本人になりきる(ニコニコする必要はなし。ロシアでは無意味に笑う者はバカと思われる…)
やめようかな
いやいや、終わってみればいい思い出になること間違いなし!
この記事を読んで、(心の)準備をしておきましょ!
アレグロ号のチケットを買おう
ヘルシンキとサンクトペテルブルグをつなぐ列車はアレグロ号といいます。
フィンランド側、ロシア側、双方の公式サイトで購入できますが、フィンランド側の方がわかりやすくて簡単です。
【VR train tcikets】
フィンランド語のホームページですが、ENをクリックすると英語に変更できます。
日本語のページはありませんが、英語のみでもそんなに難しくないと思います。

価格は日にちや時間帯によって千円~数千円単位で異なるので、コストを抑えたい人は値段から逆算したプランを考えてもいいかも。
↓
出発時刻と、1st(一等)クラスと2nd(二等)クラスいずれかを選択します。
乗車時間は3時間半ですし、特別な理由でない限り二等車両で問題ないと思います。
↓
【SEAT SELECT】でお好きな席へ。
↓
【PROCEED TO PAYMENT】で支払いへ
※パスポート番号が必要になります
すべて完了すると、メールにてEチケットが送られてくるので、必ずプリントしておきましょう。
ヘルシンキ中央駅
10:00発の列車に乗るべく、ヘルシンキ中央駅に向かったのは8:30頃。
この時期のフィンランドの日の出時刻は9:30頃なので、あたりはまだ薄暗い闇のなか。
人々の活動時間帯のはずですが、あまり通行人が見られないのでなんだかチョットさみしい。
みんなクリスマス休暇だからなぁ…
店は軒並み「CLOSED Happy Christmas!」と書いてあったので。

駅構内には改札などはなく、軽食や果物などの露店が並んでいます
写真にもありますが、小さな青い電光掲示板に、アレグロ号の発着プラットフォームが載っています。
構内は広々としていて視界もよく、混雑している様子も見られません。

アレグロ号は9:45くらいに到着しました。
乗客を降ろしてから車内清掃が入ります。
このころにはぞろぞろといろんな人たちが集まり始めてたのですが、旅行客というより、帰省するっぽい家族連れや軽装の若者が多かったのが印象的でした。
アジア系はまったく見かけなかったので、より自分の「異人感」が出ていて興奮します!
ワクワクしながらいざ乗車です。
アレグロ号、発車!
車内は以前乗ったギリシャ国鉄に比べ、もっときれいで快適でした。
足元のスペースは十分、荷物置き場もしっかりしていて、大きなトラブルもありませんでした。
ヘルシンキを出た時点で乗車率は30-40%くらいの印象です。
出発して10分ほどすると、制服を着た駅員さんが乗車券のチェックにまわってきます。
プリントしておいたEチケット(予約確認書)を見せればOK。
まだまだフィンランド国内なので、あくまで乗車券の確認のみ。
パスポートの提示はもとめられません。
とはいえ、誰かが来るたび、「何か不正があったんじゃなかろうか」とビクビクしちゃう。


しばらくは、というより、最初から最後までこの景色が続きます。
夏なら緑が燃えてさぞ美しいんだろうなぁ…
この雪景色と針葉樹林がいかにも北国のムードを醸し出しているので、自分が今どこにいるか、あらためて感慨深いものがあります。

車内を散策すると、すぐカフェテリアがありました。
私はここを食堂車だと思ったのですが、後日ロシア側のホームページを見ると、食堂車はどうやらほかにあるらしい。
そして、キッズスペースもあるようです。
けっこうな、ホスピタリティだこと。
スキンヘッドの怖そうなお兄さんがコーヒーを買っています。
お兄さんが買い終わるのを待って、私もコーヒーを注文。
そして、座席に戻ると、朝にヘルシンキで買っておいたランチをいただきます。

ヘルシンキで有名なパン屋さん、【エロマンガ】の大人気商品、シナモンロールとピロシキです!
漢字変換に注意(笑)
味はといえば―――
めちゃくちゃ美味しい!!
ピロシキは手のひらサイズの大きさで、中にひき肉や春雨といった、日本人におなじみの具材がぎっしり。
普段から甘いものが苦手な私は、正直シナモンロールに期待をしていませんでしたが、
欧米特有の「甘けりゃいいだろ」という暴力性もなし。
日本人の口にも合う、繊細な甘さ。
あと引くシナモンのやさしい風味。
人生初のシナモンロールのあまりのおいしさに、感激いたしました!
またヘルシンキに行くことがあれば、絶対に立ち寄るベーカリー店でしょう。
出国審査/フィンランド パスポートを見せておわり。
さて、ここからが一番重要なところです。
食事後に爆睡していたところ、トントンと肩をたたかれ飛び起きると―――
さっきカフェテリアで見かけたお兄さんが。
出国審査の係官だったようです。
フィンランド出国審査は想像の域を出ない、シンプルなものでした。
パスポートを見せて、おわり。
パスポートを渡し、ドキドキしながら待っていると、
『へえ、日本から来たの! フィンランドはどうだった?』
みたいなフランクな質問が来て、
『とてもよかったです』
とこたえると、
『いいね!』(と親指グー)
なんだか温かい気持ちになりました。
係官の表情も終始穏やかで、国民性がよく表れていると思いました。
入国審査/ロシア パスポートを見せておわり…じゃない!
そんなゆるい感じの出国審査を経て、なんだかこのまま同じように入国できるんじゃないかと、ゆるい気持ちのままいつのまにか国境を越えており―――
途中駅に停車すると、とつぜん空気が変わりました。
静かだった車内に何人もの足音が響きます。
座席からそーっと顔をのぞかせると、
いました!
もう、明らかに軍人です!!(泣笑)
目視するかぎり、4人います。
女性が一人、あとは男性。
2人がパスポートのチェックをしつつ、あとの人は周囲を観察。
やがて、軍服のお姉さんがやってきました。
…こっわ
こんな間近で軍人を見ることなんてないよふつう。
私は今さらながら、ぎりぎり直前まで何度もビザを確認していました。
ほんとに今さらだけど…
せいいっぱい、誠実そうな、純真な、無垢な顔でお姉さんを見つめていました。
(私はピュアな日本人ですよ、悪い人間じゃありませんよ)
そんな目です。
内心は心臓が飛び出そうなくらいバクバクしていました。
事前に出入国/イミグレーションカード(カードといっても、薄っぺらい紙きれ)を渡されているので、これに記入をしておかなくてはなりません。
ボールペンは必須です。
あと、イミグレーションカードは切って半分返されるので、出国するときまで絶対になくしてはいけません!
ちなみにこの紙、飛行機での入国の際、空港のパスポートコントロールでも受け取りますが、そちらでは署名するだけでOKの状態になっています。
ここでは名前やら観光目的やらを自分で書き込まなければなりません。
ロシア語の横に英語の記載もあるので、冷静になればそれほど難しくはありません。
しかし、わからない部分があっても聞ける雰囲気ではなし!
基本的にはパスポートに載っている情報(生年月日やビザの日付)を書き写すだけです。
お姉さんはパスポートとイミグレーションカードを受け取り、私に眼鏡を取るよう指示し、実物と顔写真を見比べること数分。
『×××』
なにかしゃべりかけられましたが、なにせロシア語。
なぜロシア語? 国際列車の審査官がなぜにロシア語?
こっちはどう見てもロシア語のわからないアジア人ですよ。
フィンランド人は英語でやり取りしてくれたっていうのに…
ロシアの洗礼!
ひとまず用意しておいた「турист(旅行者です)」を言い(おそらく質問の答えではないだろうけど)、
タイミングを見て「Спасибо(ありがとう)」を伝えます。
お礼は日本の文化だし…あと、そのくらいしかロシア語しゃべれないし。
軍人さんは同僚と私の処遇を話し合い、私は無害な日本人を演じ続けました。
そのうち、『もういいわ』的な雰囲気になり、パスポートを返され、イミグレーションカードの半分を渡され、無事入国審査を終えたのでした…
その後、反対側の通路から、獰猛そうな犬をを連れた、ザ・軍人たちが三人ほどこちらへ向かってきました。
さっきの人たちとは別。
どうやら荷物のチェックのようです。
麻薬探知犬かなにかでしょうけど、犬種はわかりません。
犬に詳しくない。
ただ、めっちゃでっかい犬!
マジでこわい!
たぶんドラッグの基準が日本よりゆるいはずなので(!)、それ以外の危険物も嗅ぎ取っているに違いありません…
火薬とか化学薬品とか?
幸い、ワンコはこちらを見向きもしませんでしたが、人間の軍人さんには荷物を開けるよう指示され、中身をチェックをされました。
こちらもなんとかOK。
軍人さんたちは終始無表情、逆らえばすぐに連行されるであろう空気を漂わせ、人間味のひとかけらすら感じさせず、去っていったのでした。
終わった後の脱力感―――いや、達成感もハンパないです。
おそロシア!
サンクトペテルブルグ フィンランド駅に到着!
その後は緊張の糸がほぐれ、再び爆睡。
ペテルブルグへ近づくにつれ、乗車率もどんどん上がってきて、最終的にはほぼ満席状態でした。
列車を降りたら人の流れに乗って歩けば、すぐに街へ出られます。
ちなみに12月のペテルブルグは足元がみぞれ状態になっているので、ロング丈のスノーブーツがおすすめです!
【ちょっとうれしいおまけ】
あとになって気づいたんですが、入国/出国審査の際のスタンプが汽車になっていました!


あんなに怖がらせておきながら、スタンプはかわいらしいという、ツンデレっぷり…
さすがロシア。
まとめ
アレグロ号のチケットはフィンランド側から買うべし
フィンランドからの出国はとてもかんたんだった
ロシアへの入国は容赦ないロシア語がくるけど、
しゃべれなくてもなんとかなった
ボールペンは忘れずに(貸してくださいと言える空気ではない)
冬のペテルブルグではロング丈のスノーブーツがおすすめ