こんにちは、ヤナセです。
この「メガネ論」のカテゴリでは、
元眼鏡店勤務で元眼科医療従事者(国家資格有り)の私が、10年のキャリアをもとに
目と眼鏡にまつわる役立ち情報を発信します。
本記事はこんなひとにおすすめ:
「なんか、メガネかけると頭痛くなっちゃうんだよね」
「かけ始めは良いんだけど、長時間メガネしてると頭痛がしてくる」
「頭が重たくなるからメガネは嫌い!」
こんな経験ありませんか?
私の経験でもこういう訴えは珍しくありません。
原因として考えられるのは、大きく分けて以下の4つ。
1.レンズが合ってない
2.フレームが合ってない
3.度数もサイズも合ってるいるが、斜視がある
4.適応力が弱い
これだけで、「なるほど!」と合点がいく人はなかなかいませんね。
解決策としてはひとまず眼科に行って相談してもらうしかないんですが、自分はいったいどれに当てはまるのか?
ちょっとした知識を持つことも大切です。
では、詳しく解説していきますね。
眼鏡をすると頭痛がする原因① レンズの度が合ってない
頭痛の原因で一番多い原因がこれ。
「レンズの度数が合っていないこと」です。
なぜ合ってないのか?
それは、
徐々にずれてきた
または、
最初から合っていない(間違っていた)
のいずれかに分けられます。
まずは「徐々に合わなくなってきた」パターンでは、最も多い理由として
老眼
が挙げられます。
老眼は、じつは30代半ばになるとすで片足の指先を老眼ワールドに突っ込み始めてるんです。知ってました??
その人がもともと遠視だったか近視だったかでも変わるんですが、遠視・近視の話は大変複雑なので詳細は別記事にまとめます。
老眼が進むと
「なんか最近、近くが見えにくくなったな」
「遠く⇔近くのピントが合わなくなってきたな」
と自覚してきます。
その不快な状況を打開しようと、
「もっとがんばれば見えるんじゃないか?」
と脳が修造化してくんですね。こんなふうに。
こんな指示が出ちゃ、がんばるしかない。
そこで一日中がんばった挙句、待っているのはとてつもない眼精疲労と頭痛…。
老眼のあるあるです。
あと、老眼が進むと「近視は減り」「遠視は増える」ので、
- 近視の人は今までの眼鏡の度が強すぎて、
- 遠視の人は今までの眼鏡じゃ弱くなる
んですね。
これは100%なります。
なので、結果的に眼鏡の度がずれていることになり、頭痛へとつながっていくというわけでした。
つぎに、「最初から合ってない(間違ってた)」パターン。
度数の処方ミス
眼鏡屋の加工ミス
処方ミスとは、眼鏡の度数を決定する時点で
- 計算ミス
- 記載ミス
をしてしまい、結果的にでき上った眼鏡が本来の適切な度数と異なっていることです。
恥ずかしながら、私もこのミスをしてしまったことはあります…
眼鏡屋の加工ミスとは、レンズをフレームにはめ込む加工作業の時に
- 処方の数値を誤って認識した
- 左右のレンズを入れ間違えた
など、物理的に違う眼鏡を作り上げてしまうことです。
当然、適切な眼鏡が仕上がらないわけなので、合っていない度数の眼鏡をかけさせられたお客さんや患者さんはたまったもんじゃないですよね。
ご本人には何の不備もない例ですが、残念ながら珍しいことじゃないんです。
眼鏡をすると頭痛がする原因② フレームが合ってない
これは単純に物理的な問題です。
フレームが小さすぎる
顔に対して小さすぎる眼鏡をしてれば、そりゃあ頭痛もしますわね。
特に頭痛の原因となる部分に多いのは、こめかみの圧迫です。
子どもの場合は顔もぐんぐん成長するので、1-2年単位でフレームごと新しくするのが望ましい。
大人の場合は、
のパターンが多いです。
フレームを預かってよく見ると、
「眼鏡屋さん、めっちゃ苦労して広げたんだろうなぁ」
という涙ぐましい努力のあとがよくわかる事例が何度もあります。
また、
フレームが歪んでいる
なんらかの原因でフレームが歪んでしまい、鼻や耳を圧迫して頭痛がすることもありますね。
この場合、眼鏡屋さんに持って行って物理的に直してもらいましょう。
ただしフレームが直るかどうかは、
- フレームの強度
- 眼鏡屋さんの技能
にかかっているので、直してもらう際はしっかり相談できるところがいいですよ。
眼鏡をすると頭痛がする原因③ 斜視が隠れている
斜視についてはよく例に出されるテリー伊藤さんのように、片方の眼が違うところを向いている状態のことを指します。
面と向かって話していても、
「あれ、なんかこの人、どこ向いてるのかわかんないな」
と、一瞬
「ん?」
となる目の向きです。
なので詳細は別記事にまとめます。
頭痛の原因となるのはわかりやすい斜視ではなく、「隠れ斜視」。
専門的には
間欠性斜視(かんけいつせいしゃし)
と言います。
この「隠れ斜視」は、じつは正常な人が想像もできないくらいの筋力の負荷を眼球にかけてるんですね。
なにかを集中して見るときはつねに眼球の筋肉が限界までがんばってる。
どのくらいがんばれるかは、おおむね
隠れ斜視の程度
と
その人の年齢
によって変わります。
がんばりが限界点を超えると、頭痛へとつながっていってしまう。
若くても斜視の程度が大きければ頭痛になるだろうし、
斜視の程度がわずかでも筋力の弱い高齢者ならやっぱり頭痛が起きる可能性はある。
隠れ斜視を補正する眼鏡の処方のやり方はいくつかあるので、
「メガネの度も合ってるし、フレームも問題ないって言われたのに、なんで頭痛が治らないんだろう?」
という人は眼科で相談してみてください。
眼鏡をすると頭痛がする原因④ 適応力が弱い(コンタクトレンズへの依存)
無能なんて、そうは言ってません。
新しい職場にすぐなじむ人、新しい環境にすぐ慣れる人、そんな有能な人がいることは確かですけど。
たしかに「適応力が高い人」はいますよね。
でも眼鏡の適応力が低い人は、そういう仕事ができるできないの能力と全然関係ありません。
慣れるまでの感覚が早いか、遅いか
のことです。
確実に言えるのは、
子どもであればあるほど、適応力はハンパなく高い
ってこと。
年齢が小さいほど、どんなに強い度数の眼鏡でも苦も無くかけられちゃうもの。
これが10代になり、20代になり、大人になるほどちょっとした度数の変化についていけなくなり、
たいていコンタクトレンズをしたがります。
コンタクトレンズが快適なので、そんな人たちは一日中コンタクト。
眼鏡はたまーに。もしくは、自宅用。
私の経験上、コンタクトレンズに依存気味の人の過半数は自宅用の眼鏡の度が合ってません。
(何年も前の古いやつをそのままにしてるから)
で、花粉症だの免許更新だので眼鏡を作り替えるんですが、
とくるわけ。
コンタクトレンズの依存度が高いほど、眼鏡の適応力が下がり、ちょっとした度数アップにも適応できなくなっちゃうんですね。
こういうのはもう、がまんしてかけるしかない。
慣れればかけられるはずなんです。
もうひとつ、
「いままで目が良かったパターン」
というのがあって、
30代、40代、50代になって初めて
「遠くを見る眼鏡をかける必要になった」
人です。
多いのは、免許更新とか会議のプロジェクターが見えなくなってきたというケース。
30代はギリなんとか行けるかなという感じですが、40-50代で初めて眼鏡を使う人は、
かなり弱い度数でも「くらくらして頭痛がする」と訴えてくることが非常に多い。
基本的に適応力が弱い人は、
目的を達成するための最低限度の度数で、かつ自分の適応力に合った度数のかね合い
が大切になります。
「眼鏡で頭痛」:自分がどれに当てはまるかわからない?
さて、ここまで読んでくださったあなた。
もちろん、心当たりのある人もいるでしょうし、初めて聞いたことばかりの人もいるはず。
ですよね。
心当たりがある人も、皆目見当がつかない人も、まずは信頼できる眼鏡屋か眼科で相談しましょう。
まとめ
以上が「メガネをかけると頭痛がする」原因として考えられるものです。
1.レンズが合ってない
2.フレームが合ってない
3.度数もサイズも合ってるいるが、斜視がある
4.適応力が弱い
今回は「メガネをかけたときだけ頭痛がある」事例をピックアップしました。
頭痛ってこわーい病気が隠れていることもり、最悪の原因としてなんらかの疾患も考えられます。
眼鏡屋か眼科か、迷ったら眼科のほうがいいですね。