トランス脂肪酸が体に良くないと聞いたんだけど、
トランス脂肪酸ってなんですか?
こんな疑問にお答えします。
ポイント:
- 問題になるトランス脂肪酸は人工的に作られた油
- マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドが代表的な食品(添加物)
- WHOも「人体に利益をもたらさない」と言い切っている
- 加工食品を食べ過ぎなければ日本での生活では問題にならない
私は今はお菓子やファストフードを食べまくっているわけじゃないので、そこまで神経質にはなっていません。
トランス脂肪酸のとり過ぎが体に悪影響なのは間違いないようですが、
「いやいや、病気になる人はトランス脂肪酸の摂取以外にも原因はあるだろうよ」
とも考えてます。
私は「ちょっとくらいいいじゃん」という立場なんですけど、こんなことに気づきました。
トランス脂肪酸を避けようとすれば、必然的にむだな脂質や糖質(炭水化物)も避けることができる
結果的に体にイイ!
本記事でトランス脂肪酸についてちょっと知っておくと過剰な心配を避けられます。
トランス脂肪酸とは
トランス脂肪酸は大きく分けて二つあります。
ひとつは反すう動物がもっている天然由来の飽和脂肪酸、もう一つは植物由来の天然の脂肪酸を工業的に作り替えたトランス脂肪酸(不飽和脂肪酸)です。
一度食べたものを胃から口に戻して、噛んでまた胃に入れてをくり返すタイプの動物だよ
オリーブオイルもごま油も「液状」ですよね。
でも、牛脂とか豚脂とか、白い固形状ですよね?
本来、液状の油を硬く作り変えることでできるのがトランス脂肪酸(硬化油)です。
工業的とはこの過程のこと。
問題とされているのはこの人工的に作られたトランス脂肪酸の方。
トランス脂肪酸の製造技術は19世紀末にはあったみたいなんですが、第二次大戦中にバターの不足で「マーガリン」の製法が飛躍的にアップしました。(参考:EM生活 『トランス脂肪酸って食べちゃだめなの?』)
あと、家庭用の油にも原料(植物や魚)を精製する過程で消臭目的に加熱処理した際、微量のトランス脂肪酸が含まれることがあるようですね。
この食用油に関してはそんなに気にしなくてもよさそう。
どんな食品に多いの?
どんな食品に多いのかというと、もうありきたり過ぎて驚くくらい。
マーガリン、サラダ油、チキンナゲット、フライドポテト、ハンバーガー、ショートケーキ、クロワッサン、アップルパイ、デニッシュ、コーン系スナック菓子、クッキー、カレールウ、クラッカー、ファットスプレッド、ポップコーン、ピザなど。
(参考:EM生活 『トランス脂肪酸って食べちゃだめなの?』)
ただし含有量は商品によってかなり違います。
あと、ハンバーガーやフライドポテトは「一般的なファストフード」であり、例えば個人経営の店ではまた違うでしょう。
デニッシュやアップルパイも「一般的な加工品」であり、街のパン屋さんの手作りパンでは未使用の可能性だってあります。
多くとるとどうなっちゃうの?
ヤバい?
トランス脂肪酸、とりすぎるとどうなる?
トランス脂肪酸に関するWHOの最新の科学的知見(2009)
(中略)
部分水素添加油脂に由来するトランス脂肪酸は、健康への便益が無いことが立証され、明確な健康リスクのある、工業的な食品添加物と見なすべきである。
※部分水素添加油脂とは製造過程で水素添加された油脂のこと(農林水産省)
2003年にWHO(世界保健機関)とFAO(国際連合食糧農業機関)は、トランス脂肪酸のとり過ぎが心血管疾患になるという証拠を出してます。
(証拠があるってんだから、間違いはなさそう)
あとは、アルツハイマーですね。
血中のトランス脂肪酸の濃度が高いと、濃度が低い人と比べて5割~7割くらいアルツハイマー型認知症になりやすいことがわかってるんです。(CNN)
このアルツハイマーとトランス脂肪酸の研究って、日本で日本人を対象に行ってるんですよ。
よく「アメリカでは~」「オーストラリアでは~」とか聞くと、
「ああ、なんだか遠い国の話ね」
って思いますけど、アルツハイマーの研究は私たち日本人の結果なんです。
世界のトランス脂肪酸規制の動き
WHOが「トランス脂肪酸は有害」宣言を出して以来、世界各国はこぞってトランス脂肪酸の低減や規制をかけ始めてます。
以下、農水省のホームページからの引用です。
食品中のトランス脂肪酸濃度の上限値を設定
EU ( デンマーク / オーストリア / 英国 / フランス )、スイス、シンガポール
食品への部分水素添加油脂の使用を規制
米国 ( ニューヨーク市/カリフォルニア州 )、カナダ 、台湾、タイ
食品中のトランス脂肪酸濃度の表示を義務付け
韓国、中国、 香港
食品中のトランス脂肪酸の自主的な低減を推進
オーストラリア・ニュージーランド
東アジア圏は軒並み規制が入ってますけど、日本は(国としては)規制なし。
ちなみにシンガポールでもトランス脂肪酸排除の動きが強まるようですね。
シンガポール保健省(MOH)は6月6日、トランス脂肪酸の主原料となる部分水素添加油脂(PHOs)を含む食品の製造、輸入、販売が2021年6月から禁止となると発表した。
徹底してます。
日本人の食生活では
日本でもトランス脂肪酸を含む食品や添加物の名前はよく目にしますよ。
たぶんあなたも見たことあるんじゃないかな。
マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、加工油脂などと書かれているものに多く含まれています。
含有量はピンキリ。
これらを原料としたファストフード、菓子類、カレールウ、ピザなどの加工食品にトランス脂肪酸が入っているというワケですね。
外食、ファストフードの利用、コンビニ弁当、コンビニパン、間食にお菓子などが多い人は要注意です。
これが今後の課題らしいよ(日本調理科学会誌)
WHOとFAOはトランス脂肪酸の摂取を総エネルギーの1%以下に抑えるよう勧告しています。
農林水産省によると、日本人の摂取量は平均すると0.44~0.47%くらい。
一瞬、「なんだ、そんなに心配いらないじゃん」と思いますよね。
ところがこの数字、幼児から高齢者までの平均なんです。
一番トランス脂肪酸を多くとるであろう10代後半~40、50代の数値が出てないんですよ。
日本は他国と違って断固とした規制をしていません。
「もともと基準値を下回ってるもん」というのが理由だと思われます。
国が規制をかけないけど、「トランス脂肪酸は悪」という情報だけが蔓延し始めちゃって、焦ってるのは食品メーカー。
近年ではトランス脂肪酸(部分水素添加油脂)の低減化の努力を積極的にアピールしてます。


悪いのはトランス脂肪酸?
トランス脂肪酸は確かに悪いものかもしれませんけど、悪いのは本当にトランス脂肪酸だけなんですかね?
大げさな例ですが、毎日ファストフードを食べている人が心疾患やアルツハイマーになったとして。
「いやいや病気になるにはトランス脂肪酸以外にも原因があるでしょ」と言いたいです。
以下、日本マクドナルドのトランス脂肪酸についての回答です。

「適量をお召し上がりいただく分には」と書いてありますね。
「毎日食べたっていいんだよ、適量ならね」
適量ってどのくらいなんだろう、ってのはさておき。
結局はそういうことなんです。
適量じゃない量を食べるからよくない。
トランス脂肪酸だけ限定して食べ続けることは不可能です。
だからトランス脂肪酸だけを「悪」とするのはいかがなものかと。
トランス脂肪酸の多い食品は、総じて脂質(飽和脂肪酸)や糖質(炭水化物)が高いです。
ファストフード通いの人は月に1回にするとか、箱入りクッキーを食べるのが好きな人は1日3枚にするとか。
食べる総量を減らせば結果的にムダなカロリーをとることもなくなるし、「ショートニングが~」「ファットスプレッドが~」なんて神経質になることもないんじゃないかと思うのです。
まとめ
ちょっとカタイ話でした。
アレは良くないコレは良くないって言われると、何も食べられなくなっちゃいますよね。
それかもう自給自足の農業生活するしかない。
それはムリ。(虫が嫌いだからムリ)
ふだんからちゃんと五大栄養素をバランスよくとっていれば、からだのデトックス(排毒)機能はしっかり備わってるはずなんですよ。
腎臓や肝臓がちゃんと働いてくれてればね。
別にオーガニックにこだわらなくたって、ちょっとくらいの添加物を排毒してくれる。
私はパートナーの意向で泣く泣く安いマーガリンをやめ、高いバターに切り替えた生活をしていますが、トランス脂肪酸のことを知っても「べつにマーガリンくらいよくね?」という考えです。
ただ、トランス脂肪酸を避けることで結果的に体にいい影響になるとも考えてます。
問題はトランス脂肪酸そのものじゃなくて、際限なく食べすぎてしまうことなんじゃないかな。
知識として知っておくことは大事なので、本記事があなたのお役に立てれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。