「事務長、すみませんちょっとお話が…じつは秋に退職を考えておりまして…」
退職の意志を伝えるときは、すごく緊張しますよね。
嫌な顔をされるんじゃないか、怒られるんじゃないか、困らせるんじゃないか…
中でも一番気になるのは、「引き止められたらどうしよう?」という点ではないでしょうか。
今回は私自身や、私の周りの視能訓練士に話を聞き、退職時に言われたセリフをまとめました。
少なくとも、「これを言われたらこう切り返そう」というサンプルになるはずなので、どうぞ役立てて下さい。
「次の就職先が決まっているので」ですべて解決!
【プロフィール】
眼鏡屋出身の視能訓練士/ライター
目の勉強を続けて16年
斜視検査が好き
メガネが好き(所持数9本)
退職意思を伝えた視能訓練士が言われた引き止めセリフ
引き止め、あるいはこちらが(ちょっぴり)不快になるようなことは、90%の確率で言われると思っていてください。
運が良ければ残りの10%、「そうか、応援しているよ、がんばってね!」というお言葉がもらえるでしょう。(当社比)
「働かない人は常に2割いるものだよ」
私が「働かないトップの下は嫌なので退職します」と伝えたところ、返ってきた返事です。
働きアリの法則(パレートの法則)を持ち出された例。
よく働いているアリと、普通に働いている(時々サボっている)アリと、ずっとサボっているアリの割合は、2:6:2になる。
ウィキペディア
人事「働かない人が嫌というけど、転職先でも2割は働かないんだよ」
いやいやいや、
末端のサボり魔なんてどうでもいいんだ。
働かないリーダーの下にいるのが嫌なんです。
尊敬できない人のもとにいるのが嫌なんです。
実際の解決策
「そうかもしれませんが、次の職場の可能性に賭けたいんです」
「あなたに辞められると仕事が回らない/あなたが必要」
人事「あなたに辞められると回らなくなるの。あなたが必要なの!」
あなたの能力を高く評価しています的な口説き作戦。
もちろん、あなたが本当に手放したくない逸材の可能性はあります。
ですが、
結局は自院に都合のいい引き止め方です。
高く評価している相手がさらに成長できる環境に転職するのは、応援してしかるべきことではないでしょうか。
仕事が回らなくなるのをなんとかするのは雇用側の問題なので、辞める人には関係ありません。
実際の解決策
「ありがとうございます。せっかくなのですが、次の転職先が決まっているので」
「給料5万円アップする!」
人事「えっ?辞めちゃうの?う~ん、給料5万アップするって言ってもダメ?」
退職の意志を伝えたら、報酬アップを提案してきた例。
これは一方的な都合の押し付けではなく「交渉」ですので、一考の余地はあります。
自分がその眼科に残るメリット、価値が提示された条件(5万円)に値すると思えば、退職を思いとどまってもいいでしょう。
ただし、すぐに食いつくのもどうかと思うので、「そうですね…」と悩むそぶりくらいはして下さいね!
「もうちょっと引き延ばせないか」
人事「いや~、もうちょっと引き延ばせないかなぁ」
引き止めのよくあるパターンですね!
退職の期限を決めておかないと、『ずるずると引き延ばしの刑』に遭います。
特に、押しに弱いタイプの視能訓練士さんは要注意。
「自分で辞めるタイミングさえ決められない」状態になり、突然「いつ辞めるんだっけ?もう大丈夫だよ」みたいになる可能性もあります。
退職後のプラン(次の就職先や有給の使い方など)を自分で決めて実行できるのがベストですね。
実際の解決策
「次の就職先が決まっていまして、〇月から働くことになっています(嘘)」
「〇月×日から有休消化で予定を入れてしまっているので、延長はできかねます(嘘)」
嘘でOK。
要は「断固としてその日付は譲れない」ことが伝わればいいので
「その転職先ヤバいんじゃない」
人事「え、大丈夫なのその転職先。ヤバいんじゃない」
開業したての眼科に転職が決まっているとわかった時の一言。
酒臭い医師が診療やってる眼科よりヤバいところあります?
実際の解決策
「大丈夫かはわかりませんが、イチから病院を作り上げるやりがいがあると思いますので」
勤務先はなぜ視能訓練士を引き止めるのか
先方はなぜ視能訓練士を引き止めたいのかというと、次の視能訓練士探しが超めんどくさいからです。
今でこそContactキャリアなど新しい求人サービスが登場しましたが、一般的な求人サイトは求人を掲載し続けるだけで何十万円もかかります。
応募してくれる視能訓練士はなかなかおらず、採用コストだけがふくらんでいく。
その上、やっと採用した視能訓練士は履歴書だけではスキルもわからず、ちゃんとした戦力になるかもわからない。
一人の視能訓練士を手放すのは、次の採用への費用面、面接の準備、教育の手間を考えると、眼科にとってはただただめんどくさいだけのリスクなのです。
というのはあくまで眼科の事情。
あなたはあなたでやるべきことがあるはず!
引き止めに負けない!退職の「決定権」を持つ
引き止められた時、受け入れる(退職しない)ことで得るものと、受け入れない(退職する)ことで失うものを天秤にかけて下さい。
引き止められて退職しないと決めると、あなたは「相手の意向に添えた」「相手を困らせなかった」という一時的な安心感にひたれます。
その反面、自分のために自分のことを決める権利を失います。
「でも退職しないと決めるのも、自分で決めたと言えるよね?」
いえ、それは相手のために退職しないと決めるのであって、自分のために決めたことではありません。
自分のために「退職しないと決める」というのは、例えばこんなことです↓
「給料5万円UPするから!」と言われてグラッときたら、「10万なら残ります」と交渉する。
「転職先でも2割は働かないよ?」と言われたら、「今働かない2割が働くなら残ります」と切り返すとか。
相手の要望に沿うなら、こちらも条件を突き付けてやるべし
ほかでもないあなたが、あなたのために決める権利を行使しましょう。
相手に嫌な顔をされても、それはあなたの人生のほんの一瞬に過ぎません。
まとめ
退職するということは、自分がなりたい視能訓練士、やりたい検査ができないといった理由があるはずです。
(もちろん女性のライフイベントや引越しに伴う退職もあるでしょう)
「どうすればやりたいことができるか」を考えたとき、そのルート上に今の職場がかすっていなければ、どんな引き止めにも屈さずやめるべきです。
終わりは次の始まり。
別れは出会いの始まり…と同じ!